あなたの優しさが……、ちょっと身に沁みすぎます

旅行中に体調を崩すのって、あーんまりうれしくはないものです。
  
一般的に「旅行」というものは、「非日常」を味わう2〜3日から長くて10日くらいのもの。
  
パックツアーなどでみっちりスケジュールの埋まった旅行などでは、特に無事に過ごせるように、日本から大量の薬などを持っていって慎重に過ごすことが多いかと思います。
 
 
私がタイのバンコクからネパールのカトマンズに飛行機で移動する日が、一般的な、多少の緊張を伴う「旅行」でした。
 
ちょっとでも安く移動し、少しでも長く旅行を楽しみたい!というのがパッカーの常。私もみんなにならって、当時一番安いチケット、ビーマンバングラディシュ航空での、ダッカトランジットのチケットを購入。毎日飛んでいるわけではないので、2日後のフライト。
 
数日滞在してホッと一息ついていた、パッカーの休息地(?)バンコクを離れ、はじめてのネパール、しかも(若干悪名の高かった?)ビーマンバングラディシュ航空初体験、ドキドキです♪
 
コホンコホン。
 
あれ? なんか、喉が痛くないか?
 
風邪ひきはじめの時の症状です。
いつもだったら、「風邪に改源〜♪」を飲むところですが、旅行開始後2ヶ月半が経ち、日本から持ってきた風邪薬も底を尽きる頃……、いや! そういや、先日マレーシアのマラッカのドミトリーで同室だった、むっちゃかわいいフランス人のお兄ちゃんに最後の1包をあげてしまったんやったーーーーーー!!!
 
同じ宿にいた日本人旅行者たちに「明日移動なのに風邪をひき、さらに薬がない」とぼやいてみても、聞く相手も私同様、長期旅行者なので持参した薬は貴重です。おいそれとはあげられない……状況。
 
外国の薬はキツイっていうしな〜、なんとかなるかな〜。
 
……で、インドネシア→シンガポール→マレーシア→タイと、バス、電車、船……とゆっくり移動していた旅のなかで、最初のハイライト、飛行機での大移動をむかえます!
 
残念ながら、なんとかなりはせず、風邪のひきはじめ→風邪と進行し、飛行機に乗り込む頃には「熱が出る前」のあの感覚。
 
普段であれば、風邪薬を飲んで、布団に入って寝てしまうけれど、薬はないし、とにかく寝るしかない!と座席につくも……、
 
「お水をどうぞ」
 
機内に乗り込んですぐの、お水と飴ちゃんのサービス。
私のエリアの担当CAは、女性ではなく男性のようです。
それも、むちゃくちゃ濃い〜〜顔だけど、むっちゃ男前のバングラ人CA。
 
いつもやったら喜んでたかもしれないけれど、今日はお願い、そっとしておいて。寝かせて。と「私、体調が悪いんです」を表情でアピール。
 
でも、一向にお構いなしの男前バングラ人CA。
とにかく寝よう!と毛布を被り、飛行機の軽い揺れを感じながら眠りについた頃……、ゆっさゆっさと私を揺さぶって起こします。
 
ニッコリと「お魚とお肉、どちらになさいますか?」
 
貧乏旅行者にとって、飛行機移動はいくら格安航空券であっても「大きな出費」であると同時に、「豪華な食事にタダでありつけ、飲み物飲み放題」の稀有な機会。
 
とはいえ、今はしんどいから寝かせて〜〜〜と、思いながらも、ついつい「お肉を」とか選んでる私。
悪名高き(?)ビーマンバングラディシュですが、あら、意外と機内食美味しいやん、けど、食べ終わったから今度こそ寝るぞーーーーーー!
 
Zzzzzzz.
 
ああ、熱っぽいよ〜と眉間にしわを寄せながら寝ている私を、男前バングラ人CAがまたゆっさゆっさと揺り起こします。
 
なんですか〜?と、「体調悪いんです、ほっといてください」オーラを全身全霊かけて出しているつもりの私に、
 
「コーヒーにしますか? 紅茶にしますか?」とニッコリ。
 
「こ、紅茶を」。
 
紅茶を飲み終わったら、今度はもう起こされないよね、もう大丈夫やんね、ほら、体温計はないけど、今確実に熱があがってきてるで〜!と寝ていたら……、
 
 
 
 
ゆっさゆっさと……
 
 
 
 
なんですか?!(いくら男前でも、さすがにちょっと不機嫌な私)
 
 
 
 
 
「紅茶のお代わりはいかがですか?」
 
 
 
 
 
 
お・ね・が・い。
 
私をゆっくり寝かせてください〜〜〜〜〜(´;ω;`)
 
 
 
  
 
ビーマンバングラディシュ航空の機内サービスのマニュアルには、「就寝中の乗客には声をかけなくてもよい、いや、むしろかけないほうがいい」という文言は入っていないのでしょうか?!
 
男前バングラ人CAさん、あなたがとっても優しいいい人だというのはわかる、わかるけど、ほら、私のこのしんどそうな顔を見てーーーーーーー!
 
 
  
  
男前バングラ人CAのサービス、実はこれはかえって嫌がらせ?なんて、根性のひん曲がった思いもちょっと出たけど、きっと彼はフツーにやさしい、ちょっと顔が濃いすぎる人だったのでしょう。
  
彼にとっては、最上のサービスをしてくれていたんだと思います。
受けとめる側の私が、単にそれを素直に受け止められなかっただけで。
 
 
そして、それと同時に、自分がよかれと思ってやっていることが、相手にとって本当にいいことなのか、わが身を振り返ります。
 
自分の基準では「いいこと」のつもりで、ドヤ顔をしているけれど、相手の基準では、それは全然「いいこと」でもなんでもなく、むしろ「嫌なこと」ということもあるでしょう。
  
それを「あの人は、私がこんなことしてあげたのにお礼の一つも言わない」……な〜んて思いを抱くこともあったかもしれません。
  
ちょっと深呼吸して、自分に都合の悪かったあの出来事、腹の立ったあの出来事……、相手の視点に立って見直してみると……ちがう側面が見えるかもしれません。
 
 
「自分の不遇を嘆き、相手を非難する前に、視点を変えて物事を洞察しなさい。
今まで見えなかったことが見えてくるようになります。」
〜ジョセフ・マーフィー〜

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